浜松駅南口エリアでにぎわいをつくる月イチマーケット「浜松サザンクロスほしの市」
「浜松サザンクロスほしの市」は、浜松市で唯一のアーケード商店街「サザンクロス商店街」で月に1度開催され、毎回にぎわいを見せているマーケットです。今回は「浜松サザンクロスほしの市」を主催する株式会社家守舎CON 代表取締役の鈴木友美子さんにイベントについて、いろいろ伺いました。
「サザンクロス商店街」に、人の流れを生み出す
――まずは「浜松サザンクロスほしの市」について、どのようなイベントなのか教えてください。
鈴木さん:「浜松サザンクロスほしの市」は、浜松駅南口から徒歩3分の位置にある「サザンクロス商店街」で毎月第2日曜日に開催しているマーケットです。毎回、美味しいものや素敵なものを扱うお店が、最大45店集まります。始まったのは2018(平成30)年4月で、現在6年目に入っています。
――「浜松サザンクロスほしの市」を始めたきっかけを教えてください。
鈴木さん:本来の目的はイベントをやることではなく、この「サザンクロス商店街」をさまざまな人に知ってもらうことでした。そのきっかけとなったのは、浜松市で当時開催されていた「リノベーションスクール」(まちなかにある空き物件や空間を使ってまちづくりを実践で学ぶ場)への参加です。そのとき対象となっていたのが、商店街の中にあり、現在事務所を構えている物件でした。この物件を使って何をやるか3日間で考えて最後にプレゼンをするのですが、この空間に単体で何かを入れたとしても、人がたくさん訪れるような場所になるとは到底思えませんでした。そこで当時のメンバーたちと考えたのが、商店街の通りに人の流れを作ることでした。そのために、月に1度の頻度でマーケットを開催し、この場所を知ってもらうきっかけを作ろうと考えたわけです。
「サザンクロス商店街」はシャッターが閉まった店が多く、人通りがまばらで寂しい雰囲気になっていました。「魅力的な店が並べば人は集まってくる」ことを、商店街の方たちにも体感してほしいと思ったことも開催に至った理由の一つです。
交流とアナログの温かさこそ、「浜松サザンクロスほしの市」の肝
――計画当初想定されていたことと現状にギャップはありますか。
鈴木さん:当初は30〜40代の感性の高い主婦の方がご家族を連れてきてくれたらと思い、PRやイメージ作りも若いご夫婦を意識して行っていました。しかし、回を重ねるうちに意外とご高齢の方が多いことに気づいたんです。開催の様子を見て「昔はこんな風ににぎわっていたんだよ。うれしいな」と話しかけてくださる方もいて。
おしゃれな感じにこだわるのも良いですが、昔を懐かしんでうれしく思ってくれる人がたくさんいるのもいいかなと思いはじめ、そこからはこだわらなくなりました。今はどの年代の方でもウェルカムです。おばあちゃん、娘さん、お孫さんの3世代で来てくれる人たちもいます。これは当初の思惑とは違いますが、良いギャップですね。
――出店の選定などどのような点にこだわってイベントをされていますか。
鈴木さん:「浜松サザンクロスほしの市」では出店者を公募型ではなく、私たちから声かけするスカウト型で集めています。選ぶ基準としては「美味しいもの」「素敵なもの」など商品に関する条件はもちろんありますが、最も大事にしているのは「話をしていて楽しい」こと。店主の人柄が中心です。なぜなら、商品として美味しいものや素敵なものであれば、インターネットやショッピングセンターで買えてしまうため、ほしの市に来なくてもよくなってしまうからです。
私自身も素敵な人に会いたいですし、素敵な人がいる場所がいい街だと常々思っているため、その目線でスカウトをしています。
鈴木さん:また、「アナログ」の温かさもテーマにしており、いろいろな取り組みをしています。まず店主とお客様の会話を生み出す仕掛けとして考えたのが「私の本棚」です。これは出店者にお気に入りの一冊を持参してもらい、店舗の一角で紹介する企画です。
初めて出店するときには、「共通看板」と呼ぶ店名が入った黒い看板を店主の皆さんに差し上げています。そして、この看板はほしの市に限らずにお店で活用してくださいとお伝えしています。これは出店者同士のつながりを作ることが目的にあり、他のイベントでも「ほしの市に出ていましたか?」のような会話が看板をきっかけに生まれたらいいなと考え、始めました。
鈴木さん:そのほか、本と本を交換する「ほしの文庫」のコーナーや、5年後に届く手紙を出せる「未来郵便」(毎年11・12月に実施)などがあります。
歩いてみると楽しい場所がたくさんある
――今後、「浜松」駅南口エリアをどのような街にしていきたいと考えていますか。
鈴木さん:「浜松」駅北口と比べると南口は小さいのですが、北口と同程度の駅前感を作るような再開発をしてほしいと思っています。例えば北口には商店や飲食店が多いので商業で栄える街。一方、南口は文化で栄えるような街。雨が降っても駅から濡れずにいける美術館などがあったらいいなと思っています。
――最後にこれから「浜松」駅南口周辺エリアにお住まいを検討されている方へ、メッセージをお願いします。
鈴木さん:駅に近い街中ながらも、静かで住環境としては良好だと思います。そして、歩いてみると楽しいところがたくさんあります。
身近なところでいえば、商店街の中にある日本茶専門店「まるい園茶舗」の夏に登場する抹茶とあられがかかったかき氷がとてもおいしくて気に入っています。昼間から気軽に飲めるビール専門店「Raw(ロウ)」や居酒屋「いりかま」も楽しい場所です。愛犬を連れてきたときには、近くの「砂山公園」まで散歩に行きます。こじんまりしたきれいな公園でこちらもおすすめです。ぜひ、散策してみてほしいですね。

サザンクロス商店街 ほしの市
株式会社家守舎CON 代表取締役 鈴木友美子さん(右)
所在地:浜松市中央区砂山町358-18
公式サイト:https://hoshinoichi.com/
Instagram:https://www.instagram.com/southern.cross_hoshinoichi/
※この情報は2024(令和6)年12月時点のものです。