「浜松」駅南口への移転を予定 「常葉大学 浜松キャンパス」の未来へ向けた新たな挑戦
常葉大学は静岡県内最大規模の総合大学として静岡市と浜松市に4つのキャンパスを有しています。そのうちの一つである浜松キャンパスを「浜松」駅南口徒歩7分の場所に移転することを予定しています。このニュースは街のにぎわい創出に向けて地域に大きな期待をもたらしています。
そこで今回は常葉大学・常葉大学短期大学部 江藤秀一学長に地域における常葉大学の取り組みや浜松キャンパスの移転についてお話を伺いました。
大学統合を経て常葉大学が新たに誕生
――まずは常葉大学の概要と教育理念を教えてください。
江藤学長:学校法人常葉大学の歴史は、創立者で浜松出身の木宮泰彦によって1946(昭和21)年に「静岡女子高等学院」が創設されたことに始まります。こちらは学生数230名程度の女学校で「静岡浅間神社」の北回廊を借りて開校しました。それから80年近くが経ち、現在は大学院から幼保連携型認定こども園まで学生生徒数11,000人余りを擁する総合学園として広く教育活動を行っており、法人全体の卒業生は通算で16万人に上ります。なお、大学に関しては2013(平成25)年に常葉学園大学・富士常葉大学・浜松大学の3大学を統合し、現在の常葉大学が誕生しました。
常葉大学は10学部19学科を有する総合大学で、さらに短期大学部3学科と大学院4研究科があります。静岡草薙キャンパス、静岡瀬名キャンパス、静岡水落キャンパス、浜松キャンパスと静岡県内に4つのキャンパスがあり、合わせて約8,000人の学生が在籍しています。
江藤学長:常葉大学は建学の精神「より高きを目指して〜Learning for Life〜」のもと、教育理念に3つのキーワード「知徳兼備」「未来志向」「地域貢献」を掲げ、未来の国や地域に貢献できる人材の育成に努めています。中でも「地域貢献」は静岡県内の出身者が9割以上を占める常葉大学にとって非常に重要な使命であると考えています。また、近年は未来の国や地域のためにその使命を果たし続けるという未来志向を大学のビジョンとし、「MIRAI TOKOHA」を旗印として大学運営を行なっています。
駅近のキャンパスで街への若者の定着を狙う浜松市
――浜松キャンパスが「浜松」駅南口から徒歩7分の「旧高砂小学校」の跡地へ移転されるとのことですが、移転を決めた理由を教えてください。
江藤学長:昨今の静岡県全体の課題の一つとして若者の人口流出があります。特に浜松エリアは進学先として豊橋をはじめとする東三河エリアや名古屋へ高校生が流れていく傾向もあり、地域社会を支えていくためにも若者たちの流出を止める必要があります。そこで浜松キャンパスを「浜松」駅の近くに移転して、交通の利便性を高めることが課題解決の一助になるだろうと考えたわけです。現在の浜松キャンパスは浜松市北部の都田エリアにあり、「浜松」駅からバスで1時間近くかかってしまうため、より駅に近い立地とすることで、学生たちの通学や様々な活動の負担軽減にもつながると考えています。
江藤学長:そのほかにも移転するメリットはいろいろあります。交通の利便性が高まることで、これまでスクールバスの時間によって活動が制限されていた学生にも時間にゆとりができ、サークル活動や地域貢献活動がしやすくなります。また、公開講座等もキャンパスが郊外のために参加しにくい面がありましたが、新キャンパスではアクセスが容易になりますので、これまで以上に公開講座や学内の催し物に参加していただけるものと考えています。さらには、高校生たちが学校の行き帰りに大学に立ち寄って図書館や学生食堂を利用することもできますし、高校と大学が連携して教育活動を行う「高大連携活動」の活発化なども期待できます。新キャンパスは2028年4月に開校する予定で準備を進めています。
文教エリアの可能性を秘めた「浜松」駅南口側
――「浜松」駅南口側へキャンパス移転することで、期待されている街への変化はありますか。
江藤学長:北口側と比べて南口側は再整備がまだ十分に進んでおらず、これから発展していく街というイメージがあります。実際に、周辺には2023(令和5)年に「浜松工科自動車大学校」が開設し、2026年には「浜松調理菓子専門学校」の移転が予定されていると聞いています。そして2028年に本学の浜松キャンパスが移転することによって、南口側は文教エリアになる可能性があると思っています。そして、若い学生たちが往来することでにぎわいや活気が生まれるようになるはずです。
大学としては、地域の方々には元気な学生たちのにぎわいを温かく見守り、また応援していただきたく願っています。
――浜松市の街づくりにおいてもキャンパス移転をもとににぎわう空間を求めて計画が改めて練られているそうです。普段から大学と地域で連携した取り組みは多いのでしょうか。
江藤学長:浜松キャンパスの地域貢献センターを中心に、学生たちが主体となりながら日頃の教育成果をボランティア活動に利用しています。活動の一例を挙げると、近隣の小学校にてクラブ活動の講師を務めたり、地域の警察署と連携して下校時の見守り活動や防犯啓発のチラシを配布して「安心安全なまちづくり」活動に協力したりしています。また、子どもの運動機会を増やし、スポーツに親しんだり、競技力向上につながったりする取り組みとしてキッズトレーニングも行っています。
江藤学長:また、浜松キャンパス地域貢献センターが主催した「健康・スポーツフェスタ2024」では、パラスポーツをはじめさまざまなスポーツの体験や地域の方の健康増進を目的とした体力測定を実施しています。浜松市主催の「浜松まちなか文化祭」にも参加し、考案商品の試食やワークショップなどを行っています。学生たちが積極的に企画や運営にかかわって、本当にさまざまな活動に取り組んでいます。
常葉大学を中心とした大学群で、「浜松」駅南口に新たなにぎわいの創出を
――キャンパス移転後に学生たちと共に、もしくは大学としてチャレンジしたいことはありますか。
江藤学長:地域貢献活動や社会連携などを進めていきたいですね。浜松市は70万人を超える人たちが暮らす街ですが、街中のにぎわい創出が課題となっていると聞いています。浜松キャンパスには合わせて約2,000人の学生と教職員がいます。また、浜松市には本学のほかに静岡大学、静岡文化芸術大学、浜松学院大学、浜松医科大学、聖隷クリストファー大学があり、これらの大学が集まって交流する「大学群」を作っていきたいという思いがありますね。この大学群の学生たちの交流が盛んになって駅前スペースでイベントなどを開催することでにぎわいが生まれてくるのではないか、そんな期待を持っています。
江藤学長:また、浜松市との連携ももちろんあります。現在も「浜松市役所」の働きかけで県西部エリアの大学教員による浜松市民アカデミーという講座を開催したり、学生による地域の方に向けた公開講座なども行われたりしています。キャンパスの移転によって、「浜松市役所」とも距離が近くなるのでさらに連携がしやすくなると思います。
移転事業のコンセプトは「地域に根差し、次世代の若者の夢をかなえ、地域とともに新しい街を創造する」です。新たなキャンパスを作りながら、大学の力を地域に還元していくことも計画中です。そして、地域の皆様方たちと一緒になって歩んでいけたらと願っています。
――最後に現在またはこれから「浜松」駅南口駅周辺のエリアにお住まいになる方へメッセージをお願いします
江藤学長:ぜひ大学に足を運んでいただき、公開講座への参加や図書館、学生食堂を利用していただきたいですね。そして地域にある大学としてぜひ応援していただきたいです。
常葉大学
学長 江藤秀一さん
所在地:静岡県静岡市駿河区弥生町6-1
電話番号:054-297-6120(代)
URL:https://www.tokoha-u.ac.jp/
※この情報は2024(令和6)年12月時点のものです。