都市の中枢「浜松駅周辺エリア」のにぎわいと活力ある都市づくり「浜松市都市整備部 市街地整備課」
浜松市の中心部にあり、交通拠点として多くの人々が行き交う「浜松」駅。駅北口広場から北方向を望むと広々とした空間の中に全国でも珍しい円形型バスターミナルがあり、市内を放射状に巡らせたバス交通網の起終点として他では見られないほど便利で安全な公共交通機能が整備されています。さらに駅前広場をぐるり見渡すと都会的な商業施設やホテル、マンションなどの高層建築物が建ち並び、市内外より多くの人が集い、活発な交流とにぎわいが創出されています。
東海道新幹線の改札口側に面する駅南口広場は、北口広場と比べ規模が小さいものの駅前機能がコンパクトにまとめられ、北口方面とは一味違う景観と雰囲気を感じる空間となっています。
静岡県西部に位置する政令指定都市「浜松市」。県庁所在地ではない浜松が、現在に見られる発展した「浜松駅周辺エリア」となっていったのか、大変に興味が湧いたことから浜松市都市整備部市街地整備課長の白澤強さんに話を伺いました。
首都圏と関西圏のほぼ中央に位置し、技術や産業も発展してきた浜松市
――まずは、浜松市の概要を教えてください。
白澤さん:浜松市は、首都圏と関西圏の二つの経済圏のほぼ中央に位置し、面積は静岡県の約2割を占めています。地形は、天竜川中流域の急しゅんな中山間地域、浜名湖北岸のなだらかな山地、天竜川沿いの低地、三方原台地、浜名湖から太平洋沿岸部にかけての低地によって構成されており、山海川湖に囲まれた自然豊かで地理的に恵まれた都市です。
浜松が市制を施行したのは1911(明治44)年で、当時の人口は約3万7千人でした。2007(平成19)年に、静岡市に次ぐ静岡県下で2つめの政令指定都市となり、現在は人口約80万人となっています。本市は、江戸時代から続く綿織物と製材を地場産業とし、ものづくりを基盤に発展してきました。その後、製造品出荷額1位である輸送用機械器具産業を主としながら、最近では産官学の連携を積極的に展開し、次世代自動車、光・電子技術関連の高度な技術の集積が進みつつあります。また、大河ドラマやアニメなどの作品において、数々本市を取り上げていただける中、浜松の魅力の発信に取り組んでいるところです。
――浜松市の都市計画の概要を教えてください。
白澤さん:浜松市は、太平洋戦争後、戦災復興土地区画整理事業により復興を果たすと、昭和30年代の高度成長期には、東海道新幹線や東名高速道路をはじめ、国道1号バイパスの建設や都市計画道路の整備が進み、現在の浜松市の骨格が形成されました。
本市は、これまでモータリゼーションの進展に伴い都市が拡大し、自動車での移動を主体とした拡散型の都市構造が形成されてきましたが、現在の人口減少や少子高齢化が進行する中、都市計画における将来都市構造として、基幹的な公共交通沿線に複数の拠点を形成し、公共交通を主体とした便利な暮らしが可能となる「拠点ネットワーク型都市構造」を目指して都市構造の転換を図っているところです。
浜松駅周辺エリアは、商業・業務、教育・文化、行政などの都市機能が集積し、本市と周辺地域の広域圏における中心拠点としての役割を担っており、多様な高次都市機能の集積と交流の場としての魅力の向上に戦略的に取り組むことが求められています。
マンションや商業施設など「浜松」駅北側を中心に進んだ都市整備
――浜松駅周辺エリアの都市基盤整備の概要を教えてください。
白澤さん:本エリアでは、地域を分断していた東海道本線の高架化事業が1979(昭和54)年に完成し、そして、東西交通の妨げとなっていた遠州鉄道線の高架化が1985(昭和60)年に完成したことから交通の円滑化が進展しました。また、鉄道高架化により生まれた用地を活用した駅前広場や商業地、コンベンション機能を担うアクトシティの建設などが進められる中、新たな中心拠点を創出するため、土地区画整理事業や市街地再開発事業等により都市基盤整備を行ってきました。
――市街地再開発事業の概要を教えてください。
白澤さん:市街地再開発事業は、法令に基づく再開発手法のひとつで、都市再開発法に基づき土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、敷地の統合、不燃共同建築物の建築及び公共施設の整備を行う事業です。
市内で市街地再開発事業が始まったのが1984(昭和59)年で、これまでに19件の事業が完了し、すべてが「浜松」駅の北側で行われ、駅南側での事例はありません。建築物の用途としては、商業施設やマンション、ホテル等となります。
浜松駅周辺エリアは、人が寄り集まる場所ですので、行政における産業、商業、観光などあらゆる施策の中で中心的な場所として位置付けられています。
――浜松は「車に頼る生活」というイメージが強いのですが、駅周辺のマンションを利用すれば車に頼らずシニアの方でも生活ができそうだと感じました。
白澤さん:その通りだと思います。市街地再開発事業を活用して建てられたマンションに「自家用車を運転できない」といった交通弱者ともいえる方々が入居されているケースがあります。このことは市の都市計画で考えられている駅を中心とした生活に合致してくる部分であり、良いことだと考えています。駅周辺に居住者がいることで街のにぎわいはより機能を発揮するため、居住人口を増やしていくことは必要だと感じています。
――浜松駅周辺エリアの居住人口は実際に増えていますか?
白澤さん:同エリアの一部であるアクトシティの北側や「浜松」駅の南側の区域では、近年、土地区画整理事業によって開放的な新しい街並みが形成されています。これらの事業の推進において、道路や公園などの公共施設と街区の整備に伴い、一時的に居住人口の減少が見受けられましたが、現在は、市街地再開発事業を活用した高層マンションなどの高度利用が促進される中、居住人口が回復しつつあります。
憩いを感じるにぎわいや安心して暮らせる環境がある
――浜松市の魅力と「浜松エリア」に居住を考えている方へメッセージをお願いします。
白澤さん:人それぞれ感覚が違うため、にぎわいという表現は非常に難しいのですが、現在の浜松はワイワイした雑多なにぎわいではなく、文化や人の温もり、憩いを感じるにぎわいとして安心して暮らせる環境があると思います。
浜松は、東京や名古屋にも近く、海や山もあって自然豊か。その豊かな自然を楽しんでいただけるように周辺の環境整備も行っています。利便性の高い浜松駅周辺エリアはもちろんですが、浜松という街全体を気に入っていただけたらうれしいです。

浜松市 都市整備部 市街地整備課
市街地整備課長 白澤 強さん
企画調整グループ長 技監 竹内 教人さん
企画調整グループ 副技監 岩堀 仁則さん
企画調整グループ 主任 伊藤 辰巳さん
所在地:静岡県浜松市中央区元城町103-2
URL:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/
※この情報は2024(令和6)年4月時点のものです。